彼が目立ってたからかな?だから、気づかなかったんだ。
気づきたくなかった。
その声は、未来が私を呼ぶ声と同時だった。
「響香」
「なー、今日サッカーする?」
その声に私と未来は固まる。
な…んで…いるの?
唇をグッと噛みしめる。
「え…陽斗くん、同じクラスなの?」
未来が驚いた声色で言う。
安部陽斗。私の…元カレ。
ついこの間、大ゲンカして別れた。
私より後ろの席だったから気づかなかったんだ。
「響香…大丈夫?」
「う、うん、大丈夫。ほら、7クラスしかないんだし、同じクラスになる確率だって十分にあったよね」
私は笑って言う。
好きだったんだ。彼の事。
中学一年生の時、校庭でサッカーをしてる陽斗をよく見てた。
サッカーの技術もすごかったけど、
何よりその笑顔に惹かれた。
だから、仲良くなれた時は嬉しかったし、告白された時はもっと嬉しかった。
でも頑張らないと。なるべく接触は避けないと。じゃないと私は…。私は…。