ドキドキする。
学校へ向かう足が意図せず速まる。
「ヤバい...緊張してきた」
私、水瀬響香(みなせきょうか)は隣を歩く親友の澤田未来(さわだみらい)を向き言う。
「わかる!何組かな…同じになれるといいんになぁ」
未来は大きな、茶色かかった目を細めてフワッと笑う。

そう、私たちは今日から中学三年生になる。
今日は始業式。つまりはクラス替えがあるのだ。
やっぱり何度経験してもクラス替えというのは楽しみであり、緊張する。
「昇降口に貼り出されて...あ!あれかな?」
未来が指差すその先には人溜まり。
「わ…みんな来るの早いね」
そう言いながら、私たちも人溜まりの中に入り込む。
...うぅ、見るの緊張する〜。
ここ、明坂中学は各学年7クラスある。
順番に貼り出された紙に書かれている大人数の名前の中から自分の名前を全力で探す。
「「…あっ、あった!」」
そういう私と未来の声が被る。
「「え?」」
「未来…5組なの?」
「響香も…?」
2人の間に沈黙が流れる…
次の瞬間、
「「やっ、やったーー!!!」」
2人で手を叩いて喜ぶ。
まさか本当に同じクラスになれるなんて…!