ふと、デスクのスマホが唸った。取引や仕事中はバイブにしてある。


「悪い、少し待ってくれ」


[真部匡輔(キョウスケ)]とある。
叔父だった。
珍しいタイミングだった。


お互いに忙しく、今は完成間近の姉妹ビルの統括管理をしている。
完成すればサポートに回り、自分に一任する予定で。


ふらっと掛けてきても夕方以降。仕事が一区切りついた頃だ。


「どうかしましたか??」


「近々、飯でもどうだ」


「お待ちください」


隣室で待機している真弥を呼び、スマホを肩に挟んでタブレットでスケジュールの確認をする。


「はあ、まあ。夜は数日、急ぎの予定はないはずですが」


「お前に会わせたい人がいる。会食の席を作っておいてくれと。蓮川くんに」


「………会わせたい人……??いや、私は」


嫌な予感しかしなかった。


「まあそう言うな。ちょっと顔を合わすだけだ」