「やっぱり落ち着くよ、シンちゃん」


姉が帰った後。
自分の部屋で、人体骨格模型に擦り寄る25歳の独身干物女。


「もういいんだ。私はここでシンちゃんとお母さんさえいれば。明日で終わる。1時間自転車通勤も終わる」


基本片道1時間までなら、自転車でどこにでも行く。もちろん強みは基本裏道で。


お父さんが進学祝いで買ってくれた高校生から愛用している、もちろん普通のママチャリ。


公共の乗り物は路線がややこしい上に、ただただ人混みでしんどい。


日常に戻る。
これでいい。


―――これで。


そして翌日。
本当に、何もかもなかったことになる。