ひとしきり泣いた頃。


「で??姉に紹介できそうなイケメンエリートは、いるのかな??」


「いるんじゃない??彼女持ちかもだけど」


ハーッと息を吐いて落ち着く。
ベッドサイドにあった箱ティッシュが、ひとつ空になってしまった。


「夢のないこと言うんじゃないよ。夢は寝てなくても見れる、いや、見るもんさ」


「……誰ですか」


何かでも名言だ。妙に。
というか。
あの世界ならそれくらいの夢を見せてもらえそうだ。


ずっとは疲れそうだけど。


お金の掛からないホストクラブみたいなものだと思えば、これ以上の夢はない。


なおかつ仕事としてそのお伽の世界に入れ、お金までもらえる。
そりゃあ、OLさんたちもビルに入りたくて必死になる。


中の女性たちも口説かれたくて、お姫様になりたくて必死になる。


「先輩はどう??叶多さんていうの、失恋ホヤホヤ」


失恋ホヤホヤというのも失礼な言い方だけど。


「幾つ!?」


「確か、……30???だったかな」


「紹介しなさい!!」