「…僕じゃダメですか??」


「えっ…??」


「初めて会ったときから、可愛い人だなって思ってました。今どき純粋で、仕事熱心でお金やブランドに執着なさそうで」


半分、当たってるけど。
お金には執着ないかな。生活に困らない程度に稼げればいいし。


あとはいずれ小さなお家でも建てて、お母さんに少し楽させてあげられたら充分だ。


でも。だからって。
気持ちは叶多さんには向かない。向けられない。


ふと顔が近付いた。
唇が重なりかけ、思わず顔を背けて押し返し、離れた。


「ごめんなさ…」


視界の先に。


―――真部さんがいた。
綺麗な女の人と、お店から出てきた。