「出来るのそんなこと??実践もないよ??」


「妹だから特別にって、頼み込んで。お願い!!他の歯科衛生士に取られるのも嫌だから。あ、あと特患しか取らないから、振る舞いには充分気を付けてね!?」


わりとガサツな私の言動が一番の気掛かりだった。


「とっかん……???」


「特別扱いの患者様ってこと。つまりはVIPね」


「患者にVIPもなにもないでしょうが」


呆れた。


「ダメなの!!ああっ!!あと申し訳ございませんとか、かしこまりましたとか仰せの通りに致しますとか、ちゃんと言える!?使ったことある!?」


そんなに心配なら頼まなきゃいいのに、と喉元まで出たけれど飲み込んだ。


果てしない。


「……なんとかするわ」


「あんたのせいで評価が落ちたら私まで勤められなくなるんだからね!?頼んだわよ!?」


「はいはい」


そうして私は、ちょうど書いたばかりの履歴書と経歴書、証明書を手に、『そこ』に向かうことになった。