外からも微かに見える店内には間接照明。通路側の窓にはレースのカーテンをさりげなく使われ、見えにくくなっている。
「行きましょうか」
お会計を済ませたのか、店を出ると背中に手を回される。
「いやあの…」
誰かに見られたら、と固まり、慌てて離れようとする。
「心咲は今日はお休みですし、院内の人間は基本、下には来ません。それに」
耳元で、
「おそらく彼女もデートです」
「はっ…!?」
何を言ってるんだろうこの人は!?
と驚きを隠せない。
でも。
見ちゃったもんなこの前。
あながち違う訳でもなさそうだ。
だからって。
焼きもち焼いたり怒ったり、不安になったりしないのだろうか。
むしろ動揺するどころか、平然としている気さえした。
浮気くらいするでしょう誰でも、と。