そして。
通常勤務が終わり、副院長監督の元、研修係の叶多さんの指導で研修が行われた。


副院長は閉めてから出る。
さすがに2人だけで一緒に出るのはまずいので、私が着替える間に先に向かってもらった。


2階のカフェで待ち合わせという話になっていた。
入るのを躊躇い、外でうろうろしてしまう。


「文李さん」


先に中にいた叶多さんに声を掛けられ、ぴくりと肩が上がる。怯えてキョロキョロしてしまう。挙動不審だ。
やっぱり場違いだ。


いくらOLさんやカップル達が出入りしているとはいえ。庶民代表の私とは違って、皆さんそれなりの身なりをされていらっしゃる。


それぞれにお気に入りのブランドのコートやバッグを身に纏い、髪からネイルまで抜かりない。有名なブランドのバッグを手に、お茶を楽しんでいる。


本当に体の一部のように着飾れる人はごく一部で、案外皆、周りに合わせて取り繕ってるのかもしれない。


通路側から木目調の壁。立て掛けられた黒板に白やピンクのチョークで本日のオススメスイーツの名前が羅列されている。