「頑張ってくださいね」
休憩室兼控え室で、コーヒーメカを使ってコーヒーを淹れていたところだった。
お洒落すぎて使い方もわからず、おろおろする。
優しく肩を叩いてくれるのは、そのうちの1人。家俣(ヤマタ)さん。
すらりとした長身で、ざっくりと後ろに髪を梳かした、爽やかなお兄さん風イケメンだ。
アイロンのきちんと掛かった白衣が似合う。首から下げた社員証のプレートが胸ポケットに収められていた。
「あっ、はい…すいません、いろいろ」
「驚きましたよ。着任早々、真部様のご指名なんて。どこかのご令嬢ですか??もしや」
「とと、とんでもないですっ!!私なんて庶民代表!!たまたま、本当にたまったま!!知り合っただけで!!」
にっこりと微笑むと、
「それを運命と呼ぶこともありますよ??あの方はこのビルでもそう簡単にお目にかかれる方ではないんですから」
「そんなすごい人なんですか??」