そうだった。ボタンはどこに。
乗ってから思い出す。


「何階ですか??」


「あっ、1階で、いや、ATMに行きたいので…」


「じゃあ3階だな」


振り向いて気付いた。
さっきの。えっと。真部さんだ。


ドア付近のセンサーでタッチパネルが現れて、ボタンが押された。


「またお前か」


「お前かとは何ですか!?それはこっちのセリフです!!…あっ、あんなことしておいて」


結局また2人きりの空間で、妙に意識して動揺してしまう。


「あんなこと??」


ふふん、と嘲る。
うっ、となり、赤くなる。


「もういいです!!犬にでも噛まれたと思えば」


と。
エレベーターの扉が開いた。
3階だ。


「…仕方ねえだろ、惚れたんだから」


聞こえないくらいの声で囁く。


「……えっ…???」


聞き間違いだ、と振り向いたところに、若い男性が飛び込んできた。若いといっても私よりは年上の。


「えっ??えっ??!」