「いいわよ。仲咲さんなら。信用できそうだし」


間違いないけど。
言いながらちょっと拗ねて見せる。


あああ。
こんな風にするんだ。女の子って。


彼女を見ているとどんどん自分が女子じゃないことを気付かされヘコむ。


「冗談だよ。一人で飲むのも寂しいし、八嶋でも誘うよ。あっ、15階の広告代理店にいる同期です」


「へえ…」


みんなそれぞれ中で繋がってるんだ。


お金持ちはお金持ち同士。
世界が違う。


「よかったら下まで送りますよ」


「あっ、お構い無く。一人で帰れますので。ATMにも行きますし」


「そう??お疲れさま」


別に来たエレベーターに乗る。
それが間違いの元だった。