「よかったら下のカフェで、もう少し詳しくお話ししますか??」
「いや、えっと」
どう受けとればいいのか。
なんだか誘われているような、試されているような。
「あっ、急いで来たので手持ちがあまり…」
「こちらから誘っておいて、女性にお財布を出させるようなことはしませんよ。ただまあ、ATMなら下にありますが。無理にはお誘いしませんし」
体よく断ったと察してくれたようだ。
というか、なに気に奢ると言われた。そういう意味でも女性扱いされるのは初めてかもしれない。
それに一応、ATMもあるんだ。助かる。
「機会があればお願いします」
苦笑いした。
ぐるりと廻って出るので本当に他の患者とすれ違うこともなさそうだ。
「将人さん??」
一通り案内が終わって出たところで、若い女性がエレベーターから降りてきた。
ピンクベージュのトレンチコート、微かにラメの入ったオフホワイトのワンピース姿の、きれいでお洒落な女性だ。