「こちらです。そちらが受け付けになっています」


さっき降りたエレベーターから左手に、医院名の表記された半透明の自動扉があった。


開きかけた薔薇の花が医院のイメージマークらしく、モチーフにした扉も壁の柄も同様だ。


このフロアには他にも内科やクリニックがあるらしい。


入り口を入った右手に受け付けカウンターがあった。


白を基調とした壁には微かに模様が施されている。


置かれたソファは海外からの輸入品のようだ。見るからにふかふかだった。


「その椅子は飾りです。プライバシー保護のため待ち合いで他の患者様とは会わないようになってます。ちなみに他のクリニックもビルの住人かホテル利用者専用です」


徹底されてる。


「42階から51階はホテル、27階から41階はアッパーフロアで投資関係、法律関係の会社のフロアになってます。まあ、我々にはあまり関係ないことですが、一応患者様もいらっしゃることなので」