「ああそうだ、ビルの話だな。この兄貴が夏子さんとここの経営を受け持つから、俺たちは変わらずあのビルで残ることになってる。心配するな、無理に海外移住なんてさせねえよ」


「……はあ…、それを聞いて安心しました。英語なんて喋れないし」


思わず顔が綻んで、涙目になる。


「さては兄貴、余計なこと吹き込んだのか??」


じろりと睨む。


「まあ、お約束の軽い洗礼だ」


「…ったく」


―――そうして私たちは2日後、日本に戻った。