「今度はあんな生娘か」


「何が」


エレベーターの中でイケメンふたり。


行き先階のボタン以外、壁にもどこにも何の表示もない。


額縁入りの絵画が飾ってある、徹底されたこだわりの本物の木を張り巡らされた間接照明の個室。


男2人でも映画の1シーンのようだ。


「ああいうタイプは気を付けた方がいいぞ。後あと面倒だ。特にお前のような遊び人はな」


短めの黒髪はワックスで柔らかく仕上げ、目鼻立ちはすっきりと整っている。


銀縁の眼鏡のフレームを親指と中指で掛け直すのが癖だった。


年齢は真部と同じくらいだけれど彼とは違うタイプのイケメンだ。


オーダーメイドのグレーのスーツをさりげなく着こなしている。


持って生まれた品性が滲み出る。


「お前には関係ない」


「ほう??面白くなりそうですね」


私のいないところでこんな風に話していたとは知るはずもなかった。