そして翌年の春。


アメリカの都心に完成した姉妹ビルの創設記念式典に招待された私。


「……すごい……」


澄み切った雲ひとつない、青空の下。
自由の女神とともに、存在感ハンパない。


日本でも大抵目立っていたけれど、アメリカですら聳え立つビルの群を抜いて、更に目立つVIPビルだ。


用意されていたのはリムジンだった。


あまりの心地よさで、降りたくないような、落ち着かないような気持ちと闘いながら。


つくづく貧乏性だなと。


「馬子にも衣装だな」


先に一人で到着して待っていた真部さんが出てきた。


生まれて初めて夜会巻きにして胸元の開いたドレスに身を包んで手を引かれ、パーティー会場に挑んだ。


本当は着物にしたかったけれど、

「あれは俺とふたりだけのときにしろ」


と言われて止めた。
低めとはいえ慣れないヒールがツラい。


「待ってたわよ」


「な、夏子さん」


改めて見るとやっぱり綺麗だ。
麗しい。