本当に嬉しかった。


―――本当に不器用なんた、この人は。


改めて愛おしくなって、思わず抱き付いた。


「逃げも隠れもしねえし、させねえだろこれで」


家族と叶多さんが証人だ。


「で、お前はここで何してる」


ふと思い出す。
叶多さんがいたことに。


「僕は文玻さんとの結婚の挨拶に伺いました」


赤くなって顔を覆う。


「マジか……被るとは…って、どういう???」


「元はと言えば、姉の代わりにあのビルに行ったんですが。まさかこんなことになるとは思いませんでした」


「えっ!?じゃあ、それがなければもしかしたら出会ってなかったってことか」


「…かも知れないですね、わざわざあんな凄いビルには行かないでしょうから」


「2人とも、よかったわね。幸せになるのよ」


お母さんが微笑んだ。