改めてよく見ると、少し癖毛風の短めの髪。目鼻立ちのはっきりした、整った顔立ち。


エレベーターの上がるボタンを押し、来て開いた扉に吸い込まれる。


何だかわからないがもう、わたわたするだけの私。


行き先階のボタンを押すと、今度は引き寄せられ、顎をくいっと上げられた。


「はっ!?えっ!?な…???」


「虫歯じゃないみたいだな。並びのいいきれいな歯をしてる」


顔が。
近い。


吐息が掛かる。
微かにミントの香りがした。


「――まあいい。この貸しは高くつくぞ」


言うと、
唇を、
塞がれた。


――――はい!?


その内に4階についた。
開いた扉。


ふっ、と外に放り投げるように放されふらついた。


入れ違いに男性が入ってきた。


「―――おう」


知り合いのようだった。


「あのっ…!!」


振り向くと中からひらひらと手を振る真部さん。
その姿をぽかんと見ながら、扉は閉められた。