―――それからひと月も経った頃。


文玻からメールが来た。


『大切なお話があります』


と。


次の日曜。
実家に叶多さんとふたりでやって来た。


「文玻さんと結婚させてください」


そう言って、居間の座敷で2人並んで正座した。


「………っ!?いつの間に!?」


全く知らなかった。
というか自分のことで頭が一杯だった。


「こちらこそ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします」


目の前で。
テレビでよく見る光景が。


「よかったね!!お姉ちゃん!!」


「おめでとう、文玻。3ヶ月一緒に暮らしてよかったみたいね」


同棲、という言い回しをしないということは、やはり叶多さんもそれなりのご家庭ということか。


「え"っ??お母さん、知ってたの??」


「ダテに母親してないからね。いつ来るかと首を長くして待ってたのよ」


知らなかったのは私だけか。


最も人の恋愛話に興味がないのは昔からだから、聞いても耳には届いていないし残っていない。


世間一般では、親よりまず姉妹で恋バナを楽しむものだろうけれど。