「だ、だって、名前」
「タナカも自称だ。身内だとバレたくないんだよな。身分を隠してビルの管理をする縁の下の力持ち、ってな」
やることが同じか。
血は争えない。
かくいう真部さんも最初はそうだったように。
「何がアドバイスだよ」
Minatoに向かって呆れたように。
「せっかく面白くなりそうだったのに。案外あっさりバレたもんだね。イツキが初めて本気になった彼女を拝んでみたくてさ」
言いながら私に近づくと、
「騙してごめんね??ハニー」
ハグをして欧米の挨拶をする。
「…気安く触るなよ」
ムッとする真部さん。
「oh!!こんなことで妬くんですね、イツキ」
「すっかり感化されやがって」
「いいじゃないですか。合格ですよ。仲良くなさい」
にっこりと微笑む田中さん。
「…多少のガサツさには目をつぶってください。このままの彼女に惚れたんですから」
「…斎さん…」
胸が熱くなった。
「な…??泣くな!!」
「だって、嬉しい…」
どうすればいいのかと、おろおろしたけれど、頭を胸に押し当てられて、私はポンポンされながら泣いた。