目を見合わせていた紅と碧が、再び三ノ宮に目をやると、目を見開いた。

矢を、こちらに向けて今にも放とうとしているではないか。

焦りつつも、碧は紅の前に立ちはだかり、両手を広げた。

「…殺すなら、私だけにして」
「…碧!」

「…紅、アンタは私が守るの」
「…碧は女の子なのにダメたよ!」

紅の言葉を無視して、碧は三ノ宮を睨んだ。

「…三ノ宮、あんたを見損なったわ」

「…口数の減らん女だ。私を誰だかわかって言っておるのであろうな?」

「…三ノ宮 雄也でしょ?」
「…」

碧の言葉に、三ノ宮は矢を放った。

…。

「…口ほどにもない」
「…碧?…碧‼」

その場に倒れた碧を抱き起こす紅。泣きながら、何度も名を呼ぶがそれに返事はない。

「…三ノ宮、お前」

「…勘違いするな。…どこにも矢は当たっておらぬ」
「…ぁ…」

ホッとした紅は、更に碧を抱き締めた。

「…女に守らせるとは、男の片隅にもおけんヤツだな」
「…」

碧を抱き締めたまま、三ノ宮を睨むことしかできない紅。

「…その女といい、お前といい、私を誰かと勘違いしてるようだな」

三ノ宮の言葉に、紅は困惑の表情。

そんな紅から、三ノ宮は碧を奪うと抱き上げてどこかに歩き出した。

「…あ、碧を返せ!」

三ノ宮の言葉がまだ信じられない紅は、どう対応していいか、わからずにいた。

「…案ずるな。殺しはせん」
「…」

そんな事を言われたら、なおのこと不安になるのは何故だろうかと、紅は心の中で叫んでいた。