…碧がゆっくり目を開けた。

目の前にはあの桜の木がある。…地震は収まったようだ。

ゆっくりと起き上がろうとすると、手に何かが当たった。
それに気づいた碧は、ガバッと起き上がり、ユサユサと揺らす。

「…紅!紅!大丈夫?」

「…ぅ、うーん。…碧?」

そう呟くと、ゆっくり起き上がる。

「…凄い地震だったね」

紅の言葉に、大きく頷いた碧。…あんな大きな地震があったわりに、周りはとても静かだ。

「…練習行こうか」

「…ねぇ、紅」
「…どうしたの?」

紅の袖を引っ張って、碧が止める。紅は何事かと首をかしげる。

「…三ノ宮は?」
「…あれ、そう言えばどこ行ったんだろ?…ぁ、ほら、あそこ」

二人と同じ弓道着を来た三ノ宮が、練習場に入っていった。

「…結局するんだね」

そう言って、紅が、クスッと笑う。碧もそれにつられて笑みを浮かべ。

「…だね。行こうか、紅」

二人で丘からかけ降りると、練習場に入った。

「…三ノ宮!先に練習するなんて、ズルいわよ」
「…碧も始めたらいいだろ」

三ノ宮に文句を言う碧に、紅が言った。

…そんな二人を、眉間にシワを寄せた三ノ宮が、見つめている。

それに気づいた紅は、すかさず碧の後ろに隠れた。

「…三ノ宮、また紅になんかしたの?」
「…」

「…三ノ宮、いい加減に」



「…お前ら誰だ?なぜ、俺の名を知ってる?」



三ノ宮の言葉に、二人は目を見合わせた。