契約彼女にした理由

これは私の問題――――


父は私の幸せを心から願っている



『心から愛する相手を見つける事を祈ってる』



ソファーに凭れて目を閉じる。頭の中に父の言葉を思い出す。



『お見合いも幸せになる一つの方法だ。』



心から愛する相手――――


幸せになる一つの方法――――



私は父と交わした約束を思い出していた。



「………づき、葉月。」


「えっ?」



閉じていた目を開ければ、皆の視線が集中していた。



「ごめん、考え事をしてた。何?」


「カンパリ、おかわりするか?」


「ああ~、うん。まだ飲もうかな。」


「寝たら襲うぞ。」


「…………ふふっ、学も冗談を言うのね。」



私はクスクスと笑えば睨まれた。



「冗談じゃない。」



真面目な顔で言われ、笑ったまま固まった。



「おいおい、本当に学じゃないみたいだな。」


「兄貴も言うんだな。『襲うぞ』なんて。」



からかわれる学をクスクスと見た。