契約彼女にした理由

「葉月、何を頼む?」



学の声に私は目を閉じたまま答えた。



「カンパリオレンジ。」


「寝るなよ?」


「大丈夫。ちょっと飲みたいから。」



私は閉じていた目を開けば、じっと学が私を覗き込んでいる。



「大丈夫、寝ないよ。」


「そうか。」



学がオーダーしている。チラリと周りを見渡せば、じっと私達を見ている彼等に眉間の皺が寄る。



「何か?」


「いや、雰囲気が変わった?」


「雰囲気?」


「二人のだよ。」



優翔の言葉にチラリと学を見上げれば、学の視線と絡まり合う。



「甘いな、雰囲気が。」


「ふふっ、そう?」



学に微笑めば、照れたような学に更に笑みが漏れる。



「おいおい、学も変わったな。」


「黙れ。」


「もしかして今夜は二人で過ごすのか?」



健の冷やかしに学と視線が合うが、私は首を横に振った。



「ごめん、実家暮らしなの。それにまだ2週間だよ?」