契約彼女にした理由

「トラブルの原因になる。それに………。」


「それに?」


「男として、このラウンジの会員というのは大きなステータスになる。」


「ステータス?」



学を見上げればクスリと笑った。



「男の見栄だ。葉月には理解できないかもしれないが、ここのラウンジの会員っていうだけで男の株が上がる。」



確かに最上階にある会員制ラウンジは誰でも会員になれる訳ではない。



「葉月は男ばかりを責めるが、女もホイホイと騙されるのも悪いと思うが。」


「妹が悪いって事?」



凭れていた体を起こして学を睨んだ。



「お互いの責任って事だ。」


「…………帰る。」



立ち上がろうとする私の肩を強引に抱き寄せた。



「怒るなよ、葉月。」


「だって………。」


「別に妹もそこまで泣いてないだろ?今でもあの男を引き摺ってるのか?」


「それはない。」


「なら、もう許してやれ。」



学が強引に私を抱き寄せる。私は目を閉じて凭れ掛かった。