「ランチのメンバーだろ?」


「えっ?ま、まあ。」



何でもない風に話す誠が何を考えているのか分からない。



「ラウンジ?」


「えっ?あっ、うん。」



誠が背を向けて歩きだした。私は急いで誠を追い掛けた。



「ちょっと誠?」


「大丈夫だ。俺も会員だから。」


「そんな事は知ってる。何で一緒に行くのよ。」


「葉月と飲みたいから。」


「なんか変だよ?最近の誠。」



私の言葉に足を止めた誠が振り返った。私も誠の背後で足を止めた。



「変なのは葉月だろ。男とベタベタして。前の葉月じゃ考えられない行動だろ。」


「…………。」


「変なのは葉月だろ。」



誠の歪んでいく顔に息を呑んだ。初めて見せる泣きそうな誠の姿に動けないでいた。



「変なのは葉月だろ!」



静かなエントランスに誠の叫び声が響き渡った。