その日の夜、会社の机に置いた携帯がいつものように明るくなった。


着信は学だ。



「もしもし。」


「葉月、会社か?」


「そう。」


「何時に終わる?話がある。」


「………。」



想像はつく。朝の誠との会話についてだろう。



「何時に終わる?」


「………ラウンジで待ってて。今日で終わらせる予定だから、もう少し掛かる。」


「わかった。先に行ってる。」



学の不機嫌な声に苛ついているのが分かる。私は大きく背伸びをすると再び机に向かった。


漸く終わったのは22時半を回った頃だ。


明日は土曜で休みと言う事もあり、私は出張の準備をして会社を出た。



「お疲れ、葉月。」



エントランスにあるベンチには誠が座っていた。驚きにじっと誠を見つめた。



「誠、どうしたの?」


「たまには飲みに行かないか?」


「ああ~、ごめん。学と約束してて。」


「そうか。俺も行く。」


「えっ?」



私は驚きに目が点になった。