「葉月、おはよう。」


「学、おはよう。」



偶然、会社のロビーで顔を合わせた。



「珍しいね?学が遅いの?」


「ああ。この後、外出なんだ。葉月とランチに行けない。」


「そっか、頑張ってね。」



ちょっとガッカリしている自分がいた。



「寂しいか?」



チラリと学を見上げれば、ニヤニヤとしている。



「大丈夫。仕事頑張ってね。」


「寂しいって言え………。」


「葉月、おはよう。」



学の言葉を遮り、誠が私の肩を軽く叩いた。私は誠に振り返り挨拶した。



「誠、おはよう。」


「朝から一緒か?」


「偶然ね。」


「ふ~ん。」



誠が学をチラリと見れば、学も誠を見ていた。



「じゃあ、葉月、また連絡する。」


「うん。仕事頑張って。」



私達を追い越して、学がエレベーターホールに向かう背中に誠が話し掛けた。



「篠崎さん、知ってます?葉月のタイムリミット。」



足を止めた学が眉間に皺を寄せて誠を見つめる。