契約彼女にした理由

私はチラリと学を見上げた。



「そう、月曜から一泊で課長のお供。」


「………浮気すんなよ。」


「………うちの課長は既婚者。余計な心配はいらないから。」


「葉月に会えないのか。」



染々と言う学にクスリと笑った。



「契約を結んでから、何だかんだで毎日会ってるのね、私達。」


「ああ。隣に葉月がいるのが当たり前になってるな。」


「私も。でも無理に待たないで。今週は忙しいから。」



学の足が止まる。


ふと学を見上げれば、学の青い瞳と見つめ合う。



「俺は少しでも一緒にいたい。」


「ふふっ、本当?」


「本当だ。だから待ってる………っていうか俺も仕事でもしておく。」


「わかった。無理はしないで。」



学の止まっていた足が動きだし、私達はタクシーを拾うと家に向かった。



『俺は少しでも一緒にいたい。』



学の言葉に自然と笑みが溢れる。


こんな言葉一つで嬉しくなる私がいた。