契約彼女にした理由

机に置いた携帯画面が明るくなる。


ふと窓の外を見れば、真っ暗な闇に染まっていた。


携帯に手を伸ばして学からの着信に出る。



「はい。」


「葉月?今、何処だ?」


「会社よ。しばらく資料作成で遅くなる。待たなくて大丈夫だから。」


「俺も仕事で遅くなる。帰りにもう一度連絡する。」



それだけ言うと携帯は切れた。私は大きく背伸びをした。



「葉月。」



誠の声に振り向いた。



「誠、お疲れ様。今、帰り?」


「ああ。葉月はまだか?」


「まだ。今週中に資料作成しないと。」


「そうか。じゃあ、お先に。」


「お疲れ様。」



誠の背中を見送る。ふと誠が立ち止まり、私をじっと見つめてきた。



「葉月、昼間の話は本当の話だから。」


「そう。」


「また明日。」



誠が帰っていくのを見送る。すっかり時間も遅く、残ってる人は疎らだ。


もう一度背伸びをすると私は机に向かった。