契約彼女にした理由

「篠崎は葉月に本気なのか?」


「そうみたいよ。」


「でも葉月は本気にならない。違うか?今までだって本気で恋愛なんてした事なかっただろ?」



私は前に立つ誠に背を向けて資料を探し始めた。



「今まではね?」


「篠崎が気に入ったのか?」


「そうよ。一緒にいて楽しいし、案外、篠崎は私を大切に扱ってくれる。」


「まだ一週間だろ?」


「そうよ。」


「篠崎の見た目?まあイケメンだしな。」



私は振り返り、背後に立つ誠を見上げた。



「誠、何が言いたいの?別に私が誰と付き合おうと誠は口を出した事なんてないでしょ。」


「本気じゃないなら。俺は葉月が絶対に本気にならないと思っていたからだ。」


「本気で恋愛したら駄目なの?」



じっと誠を見つめる。誠の瞳が動揺からか揺らめいている。



「誠、仕事に戻れば?」



私は誠から視線を逸らして、資料探しを再開した。