契約彼女にした理由

資料の内容を読みながら、過去の資料を探しに席を立った。


フロアーの奥にある資料室に向かい、目的の資料を探す。



「葉月。」



振り返れば誠が立っていた。私は首を傾げて誠を見た。



「誠、何?」


「今朝の話だが………。」


「はぁ~、何?」



私は前を向いて資料探しを再開した。誠の近づいてくる気配に探す手を止めた。



「誠?」



誠の手が私の背後から本棚につかれた。私は驚きに動きを止めた。



「誠?」


「葉月、見合いはしないかもと聞こえたが?」


「…………。」


「葉月?」



私は本棚に置かれた誠の手を払い落とした。後ろを振り返り、下から誠を見上げた。



「そのままの意味よ。誠には関係ないでしょ。」


「そのままの意味?篠崎に本気って事か?」


「…………本気で恋愛してみるか?って言われただけよ。本気の相手かはまだ分からない。」



誠が私から一歩離れた。