「ミィは野良猫でした。実家の近くの家の軒下に母猫が仔猫を産んでて、それを見つけたのが私なんです」


か細い声を頼りに探してみたら、目も開いてない仔猫が3匹いる。

母猫は綺麗な三毛猫で、お腹の毛並み模様が「Mi」と見えたから、「ミィ」と名付けたと芦原は語った。



「……仔猫じゃなくて母猫のことなのか?」


意外だったから聞き直した。

芦原はそうですよ…と認め、フッ…と顔を綻ばせた。


「てっきり仔猫のことだと思いました?残念ですけど、母親の方なんです」


どこまでも裏切りの上手い女だ。


そんな部下の話を俺は黙って聞き入ったーー。