『コーン』な上司と恋なんて

「シェフと言ったらあの人だろう?ほら、一際背が高くて美人な感じの女」


「課長が営推課でセールスしてた時に知り合ったとか何とか」


「イケメンはいつでもモテて羨ましいよな」


実しやかに囁かれてた噂は、宝クジの話よりも現実味があった。
確かにさっき、店に入ってきた私と課長に対する金澤さんの態度は違っていた。


「久し振りね」と微笑んだ時の顔は輝いてたし、素っ気なく見せていた課長も若干ではあるけど口元が緩んでた。


彼女が働く店だから新年会の会場にいいと勧めたんだろうか。
そう言えばどれも美味しい料理だと褒めていたっけ。


ちらっとテーブルに乗った料理を見つめ、徐ろに近寄って取り分ける。

グラタンやハンバーグといった洋風料理が並ぶのを見ながら味見をすると、どれもいい味付けをされている。

サラダはドレッシングも手作りしてます…と言ってた。

柚子とサウザンとオニオンのドレッシングは、どれもレシピを知りたいくらいの美味しさだ。


こんな美味しい物を食べてるなら納得がいく。

課長は舌が肥えてるからこそ地元でも美味しい物を私に紹介したんだ。



(ふぅん。そういうことか……)


半分嘘だなんて思えない位に納得させられてしまった。

金澤さんとの間に何か繋がりが有りそうだと感じたのは間違いじゃなかったんだ。



(そうなるとアレは彼女としては複雑かもな)