『コーン』な上司と恋なんて

課長の噂を聞いたのはその時だった。

男性陣が数人集まったテーブルの側を通った時ーーー


「なぁなぁ知ってる?古手川課長、ロトで大金当たったらしいぞ」


「えっ、何それ、マジだったのか?」


「あっ、それなら俺も本人から直接聞いた。何でも家が買えそうなくらいの大金だって喜んでた」


「マジか!?それなら集りに行くぞ、俺は」


庶務課と営推課の若い男性陣達は、そんな話で盛り上がってた。

課長が仕事始めに部下と機嫌良く話をしてたのは、宝クジが当たった…ってことだったんだろうか。


(そう言えば、あの時のランチ代も課長が支払ってくれたんだっけ)


自分が誘ったから…と言い、私の分も支払ってくれた。
すみません…と謝ったら、「安いもんだよ」と言ってた。


(そっか。高額が当たってたからか)


課長の言う言葉は半分嘘だと思ってた方がいい…と、部署の先輩達は口を揃えて言い続けてる。

宝クジの話をしてた男性達も、頭からそれを信じてはいない様子だった。


私には課長という人間が段々とわからなくなってくる。

心配そうにワンコのことを見つめていた眼差しも、全部本心からではないんだろうか。


ボンヤリと突っ立てたら別のグループの人達がコソコソと噂し合ってるのが耳に入り、思わずえっ…と振り向いた。



「ここのシェフと古手川さん、デキてるって聞いたぞ」