上役と幹事なんてやりにくいよ。
あのクリスマスの翌日以降、課長との接点はまるで無いに等しかったのに。


「大船に乗った気でいれるじゃん。課長なら接待とかでいい店も知ってる筈だし、しかも、あんなイケメンと幹事なんて新年早々できないよ?神社で縁結び祈願した甲斐があったんじゃない?」


今朝、出社してお正月はどうだった…という話をしたばかりだった。

私が家族と一緒に三社参りをしたと言ったら、未希は旦那さんの家で気を使い過ぎて疲れた…と言った。


「ほらほら、よろしくお願いしますと言ってきなさいよ。これが縁でいい関係になれるかもしれないよ」


早く早く…と焦らす未希に背中を押されてデスクに近寄ると、紙を持ってる課長の目が向く。


「あ…あの…私も幹事なんです」


紙を見せると、課長の口元は少しだけ固くなった。
仕事もできない私が相手では、自分の負担が大きくなるとでも感じたんだろうか。


「足手纏いにならないようにしますから。よ、よろしくお願いします」


ペコンと頭を下げて課長のデスクから逃げるように席へ戻った。
口元を締めた課長の顔も確かめられず、パソコンの影に隠れるように息を吐く。



(ああ、もう。何でこういう時ばかりクジ運がいいんだろう)


年末ジャンボの宝くじですら末等以外は当たらなかった。

課長と話すチャンスが増えるのはいいことだけど、飲み会のセッティングには慣れてない。