月曜日のオフィスで、私はニヤニヤしながらパソコン業務をしてた。

私の席からは課長のデスクが見えて、書類片手に真面目な顔をしてるのもいいな…と思う。


(あの人と日曜日に偶然会ったなんて信じられない〜〜)


思い出す度に顔がニヤける。
この事実を誰かに話してしまいたい。



「何よぉ、翼。さっきからずっと顔が緩みっぱなし」


隣の席にいる同期の白河 未希(しらかわ みき)が頬を引っ張った。


「何考えてんの?また合コンで会った男のこと?」


先週末にあった合コンに参加してるのを知ってる未希は、そう言って揶揄う。


「違うよ。ちょっと日曜日にいい場所に行ったからその時のこと思い出してたの」


朱色の鳥居を思い浮かべながら誤魔化した。
未希には喋ってしまいたいけど、内緒にもしておきたいから違う話をしておく。


「いい場所ってどこ?」


「神社。眺めが良くて最高だったよ」


御神籤を引いたら大吉だったんだと教えた。
未希は私の話に「いいなぁ」と呟きながらも、「でもさぁ…」と呆れる。


「あんたパワースポット巡りの前に彼氏見つけるんじゃなかったの?」


痛い所を突く言葉にえへへ…と笑う。


「そうなんだけど、なかなかいい人っていないし」


木曜日の合コンも私みたいな女子は居なくてもいいみたいな感じだった。


あーいう場所には物怖じせずに話せる子の方が人気が高い。