「とにかく、明日からはちゃんと起きれるように頑張らないと!」


目覚まし時計は何個掛ければいいか…なんて計算をしてたら、インターホンが聞こえてきた。


「あ、帰ってきた!?」


玄関へ向かおうとするけどおかしい。
歩いても歩いても、足が前に進んでる感覚がしない。


「…あれ?…あれ?」


まるで空中を進んでるようで、床を蹴ってる感覚がしないのはどうして?



「ヤダッ!怖いっ!」


広幸さん助けてっ!
私の足が変だよ!!


急いで迎えに行きたいのに、どうしても着けない。
怒らせたくないのに、何故か前に進めない。



「広幸さん!怒らないでっ!」


涙が頬を伝う感覚がして、慌てて目を見開いた。


真っ暗な室内に驚き、(此処はどこ?)と思ってしまう。





「……うるさいなぁ…」


背後から声がして振り向いた。
背中を向けてる人が、ごろりと身体を反転させる。


「……広幸…さん……?」


今の何?
もしかして、全部が夢!?


「あの、私……もしかして夢見てたの?」


「もしかしなくても見たんだろう?」


起き上がりながら彼が大きな欠伸をする。


「ねぇ、今って何月?」


「あ?2月だけど…」


「えっ、2月!?…な、何日!?」


「シッカリしてくれよ、翼。今日は2月12日、日曜日だろう?」


昨日ミィのお参りに行っただろう?と聞かれる。