収めてある写真を手にして聞かれる。


「そうですよ。これが父と母で、こっちが姉夫婦」


悠生はまだ生まれてない頃だ。
姉が結婚する前で、ミィと過ごした最後のお正月にこの写真を撮った。


「仲が良さそうだな」


「少なくともミィの前ではケンカなんてしなかったですね」


ミィは私達家族の絆を深めてくれる存在だった。
今はその役目を甥っ子の悠生がしてくれる。



「翼が若い」


「大学の四年生でした」


学生時代最後の冬にミィはあの世へ逝ってしまった。
まるで、私の就職を見届けて安心するかのように……。



「……ダメなんですよね、私。ここに来ると涙しか浮かばなくて…」


いろんな思い出が溢れ返ってしまう。
ミィにはいつも、笑顔で会いたいと思ってても無理だ。


「分かるよ、それ。俺も時々同じ気持ちになる」


愛犬の遺骨を部屋に置いてる課長。
ふと思い出が蘇る…と言った。


「似てますね」


そう言うと少し照れ臭そうに微笑む。
課長は案外と照れ屋で、涙もろいと最近知った。


名残りを残しながらプレハブの外へ出た。
駐車場に止めてたcocoaへと向かってたら、大きなダンボール箱を抱えた人とすれ違った。

その人の家族と思われる人達が後を追い、全員が焼却場へと向かってる。


皆の目と鼻が赤かった。
きっと大事な家族を亡くしたんだ。