そう言われてみれば、あの周りだけは1日1回ティッシュで拭いてた。


「だから課長はジョン君を想ってます」


泣きながら微笑む彼女を抱き寄せて、「ありがとう」とお礼を言った。
コクンと頷く彼女に、もう一つ言いたい言葉があった。



「今度さ…」


話しだすと胸の中で顔を上げた。
紅く染まった頬を見つめ返しながら少しだけ照れる。


「うちの実家に遊びに来ないか。ジョンの孫犬を見せたいんだ」


それを聞いた芦原は、「是非!」と目を輝かした。

俺は可笑しいのと嬉しいのとで、やっぱり彼女を抱いてしまった。


腕の中で恥ずかしそうにする彼女が愛しくて堪らない。

やっと心が落ち着く相手が見つかり、これもジョンのおかげだと思った。


脳裏にあの日のことが浮かんでくる。

日に照れされた鳥居の中に立つ白いコートを着た芦原の姿。

まるで神様の使いのように見えて、思わず「頼む」と願った。


多分、あの時からきっと、彼女は俺にとって特別な存在に見えてたんだろう。

そう思うと、今のこの幸せも頷ける。


「翼……好きだよ……」


そう囁くと腕の中の彼女が震えた。


迫ってくる快感に浸りながら甘い夜を送ったーーー。