次の日も課長とは思うように話せなかった。

隣の席の未希は出勤してきても具合が悪そうで、「休めばいいのに」と言っても、「気が紛れなくて返って悪阻が酷くなるの」と断る。

未希は悪阻が来ない時にサクサクと仕事を進め、襲ってきたら席を外す。

お昼は勿論食べれそうになくて、脱水予防に…とレモンを齧るか水を少し飲むだけにしてた。


「そんな調子で明日も頑張れる?」


終業のチャイムが鳴る頃、グッタリとデスクにうつ伏せた未希。
私は未希の具合も心配だけど、お腹の赤ちゃんは平気なのか…と不安になった。


「大丈夫。頑張る!」


未希は青白い顔をしながらも言い張る。
先週よりも少しは楽なんだ…と話し、付き添いながら更衣室へ向かった。


そんな調子だったから今週は課長よりも未希ばかりが気になった。
幸いなことに課長も外出が多くて、私としては気が少し楽だった。


同じ部署で仕事をしてると時々目が合うから困ってた。
笑うにも笑いかけられず、先輩達の目も大いに気になってしまい。


(課長は私を見てるんじゃなくて、未希を見てるんです。先輩……)


課長も未希に「悪阻の酷い間は休んではどうか」と言った。

休みが続けばリストラされると怯えてる未希は、「翼がフォローしてくれるから平気です」と強がった。


頼りにしてくれるのは友人としては有難いけど、私はそんなに仕事のデキる人間じゃない。