「それなら好都合だ。俺もジョンを実家に置いてくるし、20分くらいで戻ってくるからこの下にある茶屋の前で待ち合わそう」


言うだけ言うとさっと背中を向けて下りだす。こっちは「はい」と言ってもないのに。



「か…課長!」


呼んでも振り向かずに下りきってしまった。
そのまま車のところまで走り、さっさと運転席に乗ってしまう。



「んもう、私の都合は無視な訳?」


途中のパーキングエリアで適度に休憩挟んできたからお腹もあまり空いてないのに。


「これは上司の職権乱用じゃないの!?」


部下は大人しく言うことを聞いておけって感じ?
プライベートで来た場所でも従わないといけないの?


「…でも、向こうから誘ってくれたんだから奢るつもりだよね?」


うん、きっとそうだ…と納得して社務所に向かって歩き始めた。

クリスマスだというのに、私と同じように参拝してる人は結構いる。

社務所のカウンターに置かれた御神籤は四種類もあって、どれにしようか迷ったけど。


(これがいい!)


ケータイのストラップアクセサリー付きのやつ。
八種類のアクセのうち一つが入ってると書かれてある。

恋愛運に向くのはクローバー。
他には鍵もいいらしい。


200円を賽銭箱に投じて一枚を選んだ。
それを握ったまま社務所の隅に避けて開ける。



(やった!大吉!)


ガッツポーズを小さく作り、ニンマリしながら読み耽る。