「さ、もう行かないと!」
「えぇえ、まだウタちゃんの事っ」
「それはまた帰ってきたらにしましょ」
急かすように私の背中を押す。
まだ聞き足りないよっ。
今日はもういいじゃんと思いつつ
勝手に進んでいく先には大きな扉が待ち構えていた。
いつ外に出ていたのだろうと不思議に思うよりも先に、その大きさに呆気にとられる。
「この向こう側があゆなんがいた世界よ」
「う、ん」
「なに、緊張してるの?」
「違うよ」
と口では言ってみるも、内心は半分嘘で半分本当。
いよいよ、か。
歩未や幸太郎、みんなはどんな表情で過ごしているんだろう。
まずは、バレないようにしなくちゃね。
いつもの私は封印。
新しい気持ちでがんばろう。



