「じゃあ、どうすればそれ貰えるの?」
「それは──」
おばあちゃんのページから私のページへ戻すと、トンと指をさす。
間のページは真っ白だったと感心しつつ、その指に視線を落とした。
心臓が飛び跳ねた。
そして締め付けられる感覚が襲う。
なんだかこの名前を目にしただけで泣きそうになった。
多分ね、後悔だと思う。
伝えるはずだったのに、私はこんな遠い場所に来ちゃったんだから。
この想いは別に伝わらなくてもいいはずだと考えたりもした。
彼にとってなんの得にもならないことは十分承知だ。
でも、私にとっては大事なことで。
ゼテルアさんが指した文字には、〝松崎幸太郎〟と確かに書かれてあった。
そしてその相手が私の好きな人ってことも確かにあった。
彼は私の初恋の人だから。



