夢をみていると思っていた。


目覚めてからずっと。


ここから脱出を試みてみたけど、
同じ場所に辿り着くし、
戻れると瞑ったとしても、フェイントをかけられて目の前は真っ白な世界だ。


痛みだって感じるこの身体は確かにここにある。


全て嘘だと思いたかった。


でも、ここまで真剣に話す目を疑うわけにはいかなかった。



最後まで言い終えたゼテルアさんは傍に置いてある紅茶を一口すすった。


あれから時間は随分経っているのに、そのティーカップからは微かに湯気がたっている。



「…………」


静かな時間が流れる。

陶器を置く高く乾いた音が辺りに響く。


ほぼ無の状態で一つ思ったことは、



神様はすごい存在ってこと。


それしか浮かばない。