タイムリミットは君にサヨナラをするまで。



「あゆみ……っ」


私の体に顔を埋めている姿にもう見ていられなくなった。


あゆみがっ。

なんでそうやって泣くの。


下を向いた視界の先に水滴がいくつものシミを作っていく。



「ぅ、……っく……」


早く逃げていればこんなことにはならなかったんだ。

なのに、私はっ……。


あんなに必死になって伝えてくれてたのに。


馬鹿だ。ごめん、歩未。


拳を作った手を思いきり振り上げて太ももを殴りつけた。

痛みなんて感じなかった。
その代わり、胸の奥が痛い。


もう過ぎてしまったんだ。
もう後戻りすることも、見ぬ振りをすることも、出来ない。


私、まだなにも。
これからだったのに。



「やだ、まだ、死にたくない……っ」