何かをやっと見つけたゼテルアさんは少し嬉しそうに声をあげた。
「あゆなん、顔上げて」
やさしく呼ぶ声にゆっくり前を向く。
目の前には私が映っていた。
「あなたここへ来る前、何が起こったのか記憶にある?」
「……あまり」
「そうよね。いい?
今から見せるものはあなたに悲しい思いをさせるかもしれない。
でも、目を逸らさずに見ていてほしいの」
私の顔を心配そうにのぞき込んでから、リモコンを操作した。
画面は今日の私の始まりを映して、どんどん場面が変わっていった。
3つ目の信号待ちのところに場面が切り替わり、横断歩道を歩いているところで、私を呼ぶ声が画面越しに聞こえた。
私が新太に声をかける。それに返してくれる元気な笑顔に私が頭を叩いていた。
我ながらひどいヤツだなと思った。
これだから、暴力女とか思われてしまうんだよね。
少しづつ進む画面をみて反省していると、横で「暴力はダメね」と注意された。
「……やっぱりそう思います?」
「当然よ~。女の子なんだから」
「でも、勝手に動いちゃうんですよ」
「うーん、それは仕方ないことね。
……良くいえば、スキンシップってとこね」
スキンシップ、か。
いいこと言うじゃん、ゼテルアさん。
なんか少し気が楽になったかも。
そのことは気にはしていたから。



