タイムリミットは君にサヨナラをするまで。



「これ移動式なの」


ゼテルアさんはそう言うとハイタッチするように軽く片手で押した。


ぷかーとフワフワ前に進む大きな雲のスクリーン。


驚くのはこれだけじゃなかった。



「あと、大きさ自由自在なのよ」


室内のちょうど中央に位置したときに、私を待たす声を一言言うと
後ろへ回って引き出しから何かを取り出す。


もちろんその引き出しも雲で出来ている。


隣に戻ってきたゼテルアさんの手には薄い長方形の塊が覗いていた。

手に持っていた長方形を差し出され見る。
それは見慣れたテレビ用のリモコンだった。

でも、なにか凄く違和感を感じる。

少し考えてからひらめいた。



「これ雲じゃない!」

「ふふ、これは企業秘密よ☆」



フワフワな感じを一切みせていないリモコンを指さして言う私に、ゼテルアさんはやさしく微笑んだ。


うわ、なんか恥ずかしっ。
子どもだなって思われた、確実に。



「もー、そんな見ないでください」

「えー、いいじゃない。あゆなん、凄く可愛かったわよ♡」


うっ、そんなこと言われ慣れてないから
どんな反応したらいいんだろう。


言われ慣れてなくて頬が緩んでいくのを必死に抑える。


『可愛い』なんてほとんど初めてに近いからこういう時どんな反応したらいいか分からない。

それに私可愛いキャラじゃない。