「全く、この子って子は……!」
「わっ、なにすっ」
掴まれた手首に驚いて振り返った。
至近距離に青い瞳があってさらに目を丸くさせる。
振りほどこうと振り回してみるけど、なかなか解けてくれない手。
な、んなの!この力はっ。
いくらオカマだからって、こんなチカラ出しすぎでしょっ。
「痛いっ離して!」
「嫌よ、こうでもしないとちゃんと聞いてくれないでしょ!」
「聞くわけないじゃん!だって、ここはっ──!?」
不意に触れた温もりに固まった。
自分の唇をなぞるように
横にスライドしていくゼテルアさんの長い人差し指。
それが口の端でピタリと止まって、
笑顔はそのままで、少し距離をとった。



